オーディションの不合格通知ほどしんどいものはありません。どんなに上手くいったように思えても落ちてしまったり、逆に絶対だめだと思ったものが受かっていたり、自分の体感はたいてい当てにならないものです。
もう十数年役者をやって冗談抜きに何百回と落ちているわたしも、不合格は未だに慣れない痛みがあります。それでもチャンスは至るところに。オーディションに落ちたときには次回のためにも無駄に心を痛めないことがなによりも大切です。
就職面接、転職活動、そしてオーディションに奮闘する貴方に
いつもわたしが実践している不合格の受け止め方・立ち直り方が参考になれば幸いです。
不合格から立ち直るための7つの方法
審査員はプロじゃない
まず大前提として知ってほしいのは審査のプロなどいないということです。特にオーディションにおいては演出家や脚本家、ディレクターやプロデューサーが審査を行うこともあります。
しかし考えてみてください。演出家は演出のプロであり脚本家は脚本のプロ。ディレクターやプロデューサーにいたっては、現場の責任者であり制作全体を統括するプロです。キャスティング専門で学んできた人なんて基本的に存在しません。(これは就職面接でも同じですね!)
ではなぜ彼らが審査を務めるのでしょうか?
答えは簡単!彼らが見ているのはキャラクターに合うかどうかの一点だからです。最初から役者の人柄や芝居力なんて第一優先で見ていません。もちろんそういった要素も大切ではありますが、彼らが探しているのはその役を演じる人です。不合格はあくまで貴方は役に合う人ではなかったという答えでしかありません。
貴方自身が芝居のプロとして受けてさえいれば、そのオーディションは貴方にとって失敗ではありません。胸を張って次の審査に進んでいきましょう!
どう見られたかよりどう見せたか
不合格を続けていくとどうしても陥りがちなのが相手の希望に寄り添ってしまうことです。素の自分の魅力を捨ててまで人に合わせることはありません。
面接ではどう見られるかよりどう見せるかが重要です。オーディションではよく受かる人の条件として「素でいる人」が挙げられます。緊張しすぎず物怖じしすぎず、傲慢にもならないことは、人の魅力を最大限に魅せる一つの方法です。
緊張でできないことはあったか
驕ってしまったセリフはないか
いつもの自分でいられたか
オーディションが終わったらこの3点を考えてみましょう。決して相手の顔色がどうだったかで悩むことはありませんよ。
誇れる失敗は自信につながる
失敗や不合格は誰だってしたくないもの。それでも一度も落ちない人生なんて訪れてはくれません。
失敗は成功の元
そんな言葉もありますが、その言葉を現実にするためには立ち直る方法が大切です。まずは今回の失敗が誇れるものかどうか考えてみましょう。失敗が誇れるなんて変な言葉かもしれません。けれど貴方がしっかり準備をして全身全霊をかけて挑んだならば、その不合格は勇気ある挑戦の結果であり誇りある失敗です。
どんな名優もどんな人気者も最初はみな無名の人。失敗が続いているのではなく挑戦が続いているのです。ひたすら歩く貴方の努力は貴方に自信を残しています。たまには自分の挑戦の歴史を、やさしく振り返ってあげてくださいね。
自分の色を知るチャンス
なにかの役に落ちたということはなにかの色にハマらなかったということ。つまり自分が持つ色を知るチャンスとなっています。
役者で重要なのは自分が何者であるかを知ることです。一つのオーディションに落ちるだけでも自分の立ち位置がわかります。特に審査員はほとんどの場合、貴方を初めて見る人です。
役者にとって初めて自分の芝居を見る人ほど参考になることはありません。貴方の中身も性格も知らないまま芝居から受けた印象だけを語ってくれます。芝居の第一印象は得意な色にもつながりますので、ぜひメモしておくようにしましょう!
落ち込むのは可能性を感じるから
そもそも落ち込むのはなぜでしょうか?
- 受かると思っていたから
- やりたい役だったから
- 最終審査まで進めていたから
よくよく分解してみるとこの思考には次の感情が隠れています。
- (自分の実力容姿実績ならイケると思った)
- (自分が誰よりも似合う自信があった)
- (このまま選ばれるはずと信じていた)
落ち込む背景には納得のいかない理由が隠れているはずです。もし100%出し切ってこれで落ちるなら仕方ない!と思えていたら、落ち込み続けることはありませんよね。
落ち込むのにも必ず訳があるはずです。けれどその理由を自分で意識しない限りは、なんとなく自己否定や劣等感に流れてしまいます。不合格で落ち込む際には合格に向けた可能性を自分が感じていたからに他なりません。
それは決して悪いことはありませんので一度分解してみることが大切です。なぜ受けたのか考えることは次回のオーディションに推進力を生みだします。せっかく落ち込むならとことん掘り下げて自分の考えや想いを探っていきましょう!
合格以外の目標達成を考える
オーディションとなれば合格がすべてかもしれません。しかし合格不合格だけでオーディションを見てしまうと、だんだん気が滅入ってきてしまいます。
そんなときにおすすめしたいのが合格以外の目標を設定しておくことです。たとえばこんな感じ。
- 審査員の良いところを見つける
- 審査員の笑顔は引き出す
- ほかの役者から芝居を盗む
- いつもよりリラックスして挑む
- 自己紹介でワンポイント増やす
オーディションに正解はないので設定するものは何でも構いません。いうなれば不合格の際の心の防御になってくれるライフハックです。不合格通知が舞い込んでも「でもあれはクリアできたな」と思えることが大切です。
オーディションの受け方も受け止め方も人それぞれ。せっかくなら自分らしく楽しめるアイデアも詰め込んで気楽にチャレンジしていきましょう!
チャンスはすでに広がっている
これは実際にわたしが何度も経験したことです。オーディションに落ちた数ヶ月後または数年後にオーディションを見た人から別の現場に呼ばれることがあります。
それは最初から撮影現場かもしれないし新しいオーディション現場かもしれません。どちらにしてもあのときオーディションを受けたからこそつながった縁です。
役者にとってオーディションはその場限りの一発勝負。しかし周りの人は違います。その姿をしばらく覚えていたり急に思い出したりするものです。
オーディションは受けるだけでチャンスを生む
オーディションは合格不合格に関わらず、役者の貴方にチャンスを招いてくれます。不合格でもチャンスの芽は踏みつけられません。受けたことを誇りにして新しいチャンスを探しにいきましょう!
落ちても貴方の価値は下がらない
オーディションの不合格通知は貴方自身へのNOに見えてしまうかもしれません。
しかし不合格は役に合う者としてのNOであり決して人格否定ではありません。貴方の価値はもちろん下がらないし、これまでの実績も経験も変わりなく尊いものです。不合格に慣れるのは難しいことですが立ち直るヒントはいくつでもあります。
- 審査のプロはいない
- 自分を正しく見せられたか
- 自信になる失敗をしたか
- 自分の色はなにか
- 落ち込む理由に可能性を考える
- 合格以外の目標を考える
- チャンスはすでに広がっている
それこそ今回のヒントはすぐにでも始められる手軽なものばかりです。どうか挫折や失敗に負けることなく自分自身を信じていきましょう。
諦めなければ道は開ける
自分でこの言葉をどう捉えるかが大切です。目指したときの気持ちを守りながら貴方らしい歩き方を手に入れてくださいね。