役者を目指すのであれば事務所所属は一つの目標です。事務所に所属するとフリーでは得られなかったメリットも多く舞台以外に映像への道も広がっていきます。
しかし数ある事務所の中からどれを目指せばいいのか、情報も少ない芸能界では分からないことも多いもの。そこで今回は事務所所属のメリット・デメリットに触れながら自分が目指すべき事務所の選び方を解説していきます。
所属する事務所は自身の道を決める大切な選択です。入ってから後悔のないように徹底した調査を行っていきましょう!
フリー活動と事務所活動の違い
そもそもフリー活動と事務所活動では、どんな違いがあるでしょうか。
「なんとなく事務所に入った方がいい気はするものの具体的な違いがわからない」という人も多いかもしれません。
ここでは実際に数年間のフリー活動を経て事務所に所属した周囲の経験談を元に、二つの違いについて解説していきます。メリットだけでなくデメリットにも触れていますので、現実的な視点でそれぞれの良さを確認してみてくださいね。
受けられる案件が変わる
まず全員が圧倒的に違うと話すのが受けられる案件の質です。フリー活動では舞台作品を中心に多くのオーディション情報を得ることができます。
しかしフリー活動では映像案件に応募できる機会は少なく、CMなどの企業案件は一般には公開されていません。初めてCMやドラマ、映画の案件を受けられたのも、事務所に所属してからの人がほとんどです。
事務所に所属することは【自分以外に責任を取る場所が増える】ということになります。そのため一人の役者としての信頼性も上がり、キャスティング側にとっては万が一の事態にも請求先が明らかである点がメリットです。
- 人気キャストが出演する作品
- 著名な監督のプロデュース作品
- 大手企業のCM案件
こうした作品へのオーディションが拾えるのは事務所所属の大きな利点といえるでしょう。
マネジメントがつく
フリー活動ではいなかった第三者の存在ができるのも事務所に所属したときの特徴でありメリットです。いくらセルフプロデュースに長けていても、「第三者から見た自分」を知ることは難しいもの。
しかし事務所に入ればマネジメントを通して客観的な視点を得ることができます。たとえば以下のような観点です。
初対面でどんな人間に見えるか
似合いそうなキャラクター、職業、作品
魅力的に見えるヘアスタイルやファッション
もちろん全てにイエスマンで従う必要はありません。指摘された内容を参考にするかどうかは役者の選択となります。
それでも自分の売り込みに客観性が加わることで自分では見つけられなかった魅力を見つけられるのは、事務所所属ならではの利点です。
生活やスタイルは制限される
デメリットでよく挙げられていたのは生活やスタイルが制限される点でした。
事務所所属になると役者の生活やスタイルは事務所の管理下となります。役者は事務所と契約した一つの商品となるため、以下のようなことは基本的にNGです。入所前には必ず覚悟してオーディションにのぞみましょう。
ヘアスタイルを変える
太る、痩せる、筋肉をつける
ニキビができる、ケガをする
旅行する、自宅以外に宿泊する
ヘアスタイルや体型は、いつでも宣材写真と同じ状態でなければいけません。多少の誤差ならOKですがイメージが変わってしまうような変化はご法度です。
またオーディションは前日の夜に連絡がくることもあります。事務所はNGが出ていない限り所属者が提出済みの住所にいるものとして扱いますので旅行や宿泊には注意しましょう。
友だちや親戚の家であっても最寄り駅が変わればオーディション会場に到着できる時間も変わります。常に迅速に動けることが事務所に所属する上でのルールとなりますので、行動の制限が伴うことは覚悟しておいた方が賢明です。
芸能事務所の選び方
では事務所の選び方について解説していきますが、その前に。
事務所に入るのは一つのスタートライン。自分と事務所の相性も踏まえて、お互いにとって最適な選択肢を見つけていきましょう!
①所属者の傾向
芸能事務所には事務所ごとのカラーがあります。
映画に出たいのに舞台系の事務所に入ってしまったり、俳優を目指しているのにモデル系の事務所に入ってしまったりしては、元も子もありません。事務所をチェックする際は、まず以下の項目を確認していきましょう。
- 俳優/モデル/アイドルなどの属性傾向
- 所属俳優が主に活躍しているフィールド
- 所属者のルックス傾向
所属者の傾向ではそもそも俳優として活動している人がメインにいることが重要です。俳優が多い事務所は当然俳優を育てることに長けており、オーディション情報も多く受け取っている可能性があります。
ただし俳優が多い事務所では、内部での競争が激しくなることも覚えておきましょう。「マルチに活躍したい」「まずは違うジャンルで足場を築いてみたい」という人はあえてモデル系・アイドル系の事務所に応募するのも一つの方法です。
また俳優がメインで所属していた場合にも、それぞれの俳優がどこを主軸に活躍しているかを確認していきましょう。
俳優業は大きく分けて映像と舞台の2つに分かれます。舞台役者と映像役者がバランス良く所属している事務所もあれば、どっちらか一方に強い事務所もありますので自分の希望するフィールドに強いか確認しておきましょう。
所属者のルックス傾向は単に美人やイケメンが多いかどうか、ということではありません。ルックスの種類は幅広く以下のような点で細かく見ていくことも大切です。
- クセのある顔立ちor正統派な顔立ち
- クールタイプor明るく元気なタイプ
- 個性がバラバラorなんとなく似通った雰囲気の人が多い
分かりやすい方法だと、自分の写真がそこに載ったときに違和感がないかどうかが大切。重要な基準となります。もちろんニュータイプとして切り込んでいくのもアリですが事務所が売り慣れていないタイプであることも忘れないようにしましょう。
②事務所としての方針
事務所には会社と同じくマネジメントする上での方針があります。それを知るためには事務所が開催するオーディション情報を見るのが一番です。
所属オーディションは事務所が実施するものもあれば、オーディション専門会社が開催するものもあります。オーディション情報を見つけたらまず求めている人物像や事務所からのコメントをチェックしていきましょう。
なお事務所の方針を見るポイントは就職活動と変わりません。事務所は自身の夢を預ける場所です。
自分が事務所の掲げる方針に賛同できるかどうか
この一点を大切に自身との相性を見極めていきましょう。
③最近の活動状況
事務所をチェックする際に見落としがちなのが所属者の直近での活動状況になります。
有名な俳優が所属していたとしても、その人以外の所属者が全く活動していないようであれば、ややマネジメントに偏りがある可能性も考えなければなりません。
反対に有名な人があまりいなくても各所属者が直近の仕事をこなしているようであれば、マネジメントが行き届いた事務所といえます。
ただし活動状況の内容には注意が必要です。全員が直近で仕事をこなしていたとしてもほとんどがエキストラ案件であることも少なくありません。エキストラの仕事は、役名がある「名前付き」の仕事よりも倍率が低く、人数重視で呼ばれる場合もあります。そのため経歴や実力よりも雰囲気や体格などで選ばれることも多く、こなそうと思えば多くの現場に入ることも可能です。
もちろん「エキストラでも沢山こなしていきたい」「とにかく現場を知りたい」という人ならそうした事務所でチャンスを狙うのも良いでしょう。
活動状況では以下の2点を踏まえて事務所の近況を確認してみてくださいね。
- 直近で仕事をこなしている人がどれくらいいるか
- 直近の仕事の内容はなにか
自分に合った事務所探しを
芸能事務所は役者志望なら一度は憧れる1つの目標です。事務所に入ると以下のようなメリットを得ることができます。
質の高いオーディションが受けられる
役者としてのアドバイスがもらえる
しかし生活や嗜好・スタイルが制限される点も覚悟しておかなければいけません。【事務所所属=1つの商品】となる自覚をしっかりと持ってのぞみましょう。
今回ご紹介した事務所選びのポイントは以下の三点です。
- 所属者の傾向
- 事務所としての方針
- 最近の活動状況
とはいえ私の周りには「憧れの俳優がいる」「名前に縁を感じた」という理由で所属した人もいます。上記のポイントはあくまで参考に客観的に考える上でのヒントとして捉えてみてくださいね。
また事務所に入れば必ずマネジメントが受けられるという訳ではなく、事務所の中でも自分を知ってもらうための努力が必要になります。事務所所属はゴールではなくスタートに他なりません。
この記事を読んだ方の一人でも多くの人が理想の事務所と巡り合えることを願っています。