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【一言映画感想】何者でもない人々へ捧げる応援歌「フリー・ガイ」

フリーガイ
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先日、久々に気になっていた映画「フリー・ガイ」を鑑賞しました。

あらすじ

舞台は戦闘犯罪なんでもありのゲーム世界「フリー・シティ」。主人公ガイはゲーム世界の背景、NPC(モブキャラ)として強盗に襲われる日々を繰り返していた。しかしある日、一目惚れした女性との出会いをきっかけにこの世界の真実に気付く。自分が何者でもないことを知ったガイは、世界を守るため動き始めるが…

キャッチコピーは

”主人公”になりたい、すべての”ただの人”へ。

まさにモブのNPCを通して何者でもない人々へ捧げる応援歌となった本作は、紛うことなき名作でした。ラストに向かうにつれて明らかになっていく、タイトルに込められたトリプルミーニングも最高。

主人公(ヒーロー)とは作品のメインに据えることで決まる立ち位置ですが、本作ではNPCを主人公にすることで主人公たる所以を設定からして覆しています。なら主人公にはなれないガイが、どうして主人公になりえるのか。これには

  • ガイが女性に惹かれた理由
  • ゲームが作られるまでの現実世界での経緯

といった所が巧みに練り込まれていました。こうした設定だけの出オチで終わらせない脚本力も素晴らしかったです。

「フリー・ガイ」が絶賛される理由

何者でもない」という悩みは、一般的ながらも強烈に私たちの心に巣食う問題。

すぐに他人との比較ができるネット社会で誰もが自己肯定感の持ち方を探し、いかなる時にも多様性が叫ばれ何者かになろうとする現在社会で「フリー・ガイ」のコンセプトは私たちの心を激しく揺さぶります。

それは劇中に登場する現実社会の人間も同様で、ガイの登場によりモブへの見方が大きく変わっていく様子は映画とは思えないリアリティーに溢れていました。(どう変わっていくかはぜひ劇場で!)

誰しもの豊かな人生を後押しする本作が絶賛されるのも当然でしょう。

「フリー・ガイ」に抱く強烈な違和感

ただ、素晴らしい人生讃歌を楽しみつつも拭えない違和感があり続けたのも事実です。これは観てみないことには伝わらない感覚でしょうが、結局主人公はガイだったのか?という問いは私の心に居座り続けています。

「デトロイトビカムヒューマン」で掘り下げられた、AIと人が共生する難しさにも似た感覚。

もし自分がガイでも、この選択ができるだろうか。

現実世界での何者でもない自分を重ねれば重ねるほど、ガイの無垢な人間性は残酷にも思えてしまいます。【まだ世間を知らない幼な子が人の喜びの為に自分を譲る間違った美談】のようにも感じてしまいました。考えすぎと言えばそれまでなんですけどね。

でも、だからこそ本作は名作になり得たのかなという気もしています。完全にモブであることを肯定して主人公に据えるプロットは斬新。

ここからまた色んな視点でのNPC系主人公が出てくるのが楽しみです。

公開年 2021年
監督 ショーン・レヴィ(『ナイトミュージアム』など)
出演 ライアン・レイノルズ他
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