基本的なオーディションでは、書類の一次審査と実技の二次審査があります。書類ではオーディションシートと呼ばれる履歴書のようなものを提出しますが、この時点で大きく人数を減らすオーディションがほとんどです。
しかしワークショップなどがある芝居と異なり書類の練習を行うような場はほとんどありません。そこで今回は書類は通りやすくなるポイントを紹介していきます。
自分をアピールするオーディションシートは自分を改革できるターニングポイント。ぜひ今の書き方やアピールポイントを見直して、一次審査への苦手意識を解消していきましょう。
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オーディションシートって?
オーディションシートが通るためには、まずオーディションシートの意義について抑えておくことが大切です。
- なぜ書類で審査するのか
- なぜ一枚の紙で合否が決まるのか
書類の先にいる人をイメージしながらオーディションシートの重要性を知っていきましょう。
オーディションシートは一次面接
オーディションシートが受からないと陥りがちなのが写真で審査されていると考えてしまうことです。
たしかにオーディションシートで最も目に入るのはバストアップと全身の写真になります。さらに俳優としてのオーディションとなるとルックスの美醜が一次審査なのではと思ってしまうのも無理はありません。
しかし、本当に美醜だけで判断するオーディションであれば、事務所に写真を送ってもらうだけで事足りるはず。オーディションシートに受かるためには一次審査ではなく一次面接であると考えることがポイントです。
面接では相手のルックスを把握した上で出てくる言葉や持っている思いを知ろうとするもの。その言葉や思いに該当するのが、写真以外の記載箇所と考えていきましょう。
すると写真だけでなく選ぶ言葉の重要性がなんとなく分かってくるかもしれません。オーディションシートは写真で見た目を知り文章で中身を知る簡略化された面接といえます。
オーディションシートを読む人
ではオーディションシートを読むのはどんな人でしょうか。基本的にオーディションシートを読むのはスタッフではなく、監督や助監督、プロデューサーであることがほとんどです。芸能事務所の面接であればマネージャーや社長など、実際にあなたと関わることになる人となります。
では時間やお金を割いてまで見つけたい人を考えてみましょう。きっと多くの人が次のようなイメージを抱くはずです。
- 作品に魅力を与えてくれる人
- 事務所に利益をもたらしてくれる人
- 今まで出会ったことのない新鮮な人
- すでに俳優としての世界観がある人
オーディションシートを書くときには自己完結しないことが何よりも大切。必ずあなたの文章を読んでくれる人はいると信じて最後まで丁寧に自己紹介をしていきましょう。
オーディションに受かるための6つのポイント
文字はできる限り読みやすく
オーディションシートでは面接と同じく第一印象が大切です。自分の字に自信がないとしても自分が書ける最高の美しさで書き切れるように努めましょう。
文字の美しさや文章の読みやすさは、写真と同じくらい読み手側の第一印象に直結しやすくなります。次のような文章は相手の読む気を無くしてしまうので要注意です。
- 文字が詰め込まれていて隙間がない
- 文字の大きさや感覚がバラバラ
- 文章が真っ直ぐ書かれていない
- 句読点が少なく一文が長い
文章力に自信がなくてもバランスや位置に気を付ければ、読み手側のストレスが一気に解消されます。
熱意のあまり書きたい内容を詰め込んでしまうときもあるかもしれませんが伝えたい思いを面接用に取っておくことも必要です。まずは相手にストレスがないよう、読みやすく伝わりやすい文字・文章を心がけましょう。
趣味特技はなるべく網羅
どんな人でも頭を抱えやすいのが趣味特技の欄です。しかし審査側はこの内容を写真の次に重要視していることも少なくありません。なぜなら趣味や特技は、あなたの経歴や嗜好がダイレクトに伝わりやすい項目でもあるためです。
たとえば以下のような趣味特技を書いたとしたら、読み手側にはその内容に関連したイメージが浮かびます。
特技がスポーツ→体育会系の性格、運動神経が良い、明るい人
趣味が編み物やお菓子作り→家庭的、内向的な性格
もちろんイメージは偏見であり必ずしも当たるものではありません。しかし答え合わせは写真や二次審査で行うことができます。趣味特技もあなたを知るヒントの一つになるのです。
ちなみに趣味と特技の違いが分からないときはできることが特技、好きなものが趣味とザックリ分けてみるのがおすすめです。なお特技は技能ともいえるため、エピソード付きで話せるレベルのものを書いておきましょう。特技や趣味の見つけ方は、人から言われたことや毎日当たり前のように行っていることがヒントになります。
また、趣味と思っていても、マイナーなスポーツや陶芸、馬術などやったことのある人自体が少ないものは特技にもなりえます。人から珍しがられたことのある趣味は特技に含めると良いですよ!
志望動機は自分事として
結局何を書けばいいのか…となりがちなのが志望動機。事務所や作品のオーディションを受けようと思った理由を書けばいいはずですが、ありきたりな文章しか浮かばず頭を抱えることもありますよね。
実際のところ志望動機は、ほとんどの人が次のような内容を書いてしまいがちです。
- 作品、事務所に魅力を感じて……
- 自分の可能性を確かめたくて……
- 芝居が好きでor演技がしたくて……
もちろん志望する理由を書く欄になりますので、このテーマで書いていくのは何の問題もありません。問題なのは上記の例をそのまま理由とする曖昧な書き方です。
このような書き方では、まだ志望動機の説明には至っていません。自分をアピールしながら志望動機を伝えるならその先を説明していくことが重要です。上記であれば次のような書き方が挙げられます。
志望動機は監督の作品に魅力を感じたからです。今作ではメインテーマとして△△について説かれています。△△については自身も実体験があり、そのときに得たさまざまな感情も持ち合わせています。私ならこのキャラクターの台詞はもちろん心にも寄り添ったキャラづくりが可能です。
これはあくまで例です。しかし作品の魅力のみを伝えるよりも自分が関わった上での魅力を伝えることができています。
志望動機を伝える際には、まずオーディションに参加する一番の理由を自覚した上で、そこにある自分だけの思いを丁寧に拾い上げていきましょう。
自己PRは等身大で自由に
志望動機に続いてまたも頭を悩ますのが自己PR。オーディションシートには必ずといっていいほど記載のある欄ですが、結局何と書くのが正解か分からず悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
ところが自己PRほど自由な欄はありません。志望動機のように理由を書く必要も趣味特技のように具体的なワードを書く必要もないため、一番自分自身をありのままに表現できる場所ともいえます。
もし自己PRを魅力的にしたいなら自分の魅力を探すところから始めていきましょう。自己PRが苦手という人は次の方法でヒントを探してみるのがおすすめです。
- 自分の長所、短所、美点を書いていく
- 自分を一言で表せるキャッチフレーズを考える
- いまのあなたを作り上げた出来事を探す
- 人からよく言われる評判や魅力を思い出す
まずは自分の性格や思考回路、大切にしている価値観、美徳などを抑えていきましょう。どんな人でも必ず大切にしている生き方、考え方があるはずです。特に浮かばないという人は、特定の価値観にとらわれないことを大切にしているのかもしれません。
また自分を一言で表すキャッチフレーズを考えるのもおすすめです。有名な例で言うと、役所広司さんは若い頃次のようなキャッチコピーをオーディションシートに書いていました。
顔は長くてごっついが、心はまろやか優男。人の難儀を見たならば、一文なしでも助けにいく。それが僕です。
なんとなく人となりが窺える上にルックスと中身のギャップもジョークにしながら解説しています。
キャッチコピーを作るときにはあなたの本質が伝わる内容をクスっとなるような軽やかさで書いていきましょう。
写真は相手によって変える
オーディションシートに使う写真は、いつも同じものを使いまわしている人も多いかもしれません。しかし写真こそ相手によって大きく変えるべき重要なポイントです。
たとえばNHKの朝ドラであれば、個性的な写真よりも透明感のある、ありのままの姿が求められます。いつもの服よりもシンプルでルックスの印象に集中できる写真がおすすめです。
また事務所の所属オーディションであれば、事務所に所属している人たちの写真の傾向をチェックすると、分かりやすいかもしれません。着ている服やライティング、ヘアメイクの自由度や屋内・屋外など、色んな要素から事務所の色を把握していきましょう。
できれば写真は撮りためず、応募するときに合わせて毎回撮影するのがおすすめです。まず写真だけで振り分けるというオーディションもあるほどですので、写真こそ妥協せず作っていくようにしましょう。
客観性×主観性のバランスがミソ!
今回ご紹介したオーディションシートで通りやすくなるポイントは、次のとおりです。
- 読みやすく伝わりやすい文字文章を心がける
- できる特技とすきな趣味で自分を伝える
- 志望動機は自分を絡ませて細かく書く
- 自己PRは魅力を自由に分かりやすく
- オーディションによって写真は変える
オーディションシートは審査員への手紙のようなものです。できるだけ等身大でのあなたの魅力を伝えて一緒にやっていくイメージを相手が共有できるように書いていきましょう。
どんな人もちょっとしたキッカケで二次審査への扉が開くはずですよ。